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院長のコラム

苫小牧民報新聞「ゆのみ」で定期的に執筆していた、院長 加藤 茂治 のコラムをご紹介します。

NO.1 「ピロリ菌発見でノーベル賞」

<2006.06.06 掲載>

従来、胃炎や胃潰瘍はストレスや生活習慣が主な原因であると言われてきた。そのため、タバコやお酒を控え、胃薬を飲む治療が何十年も繰り返されてきた。しかし、薬を飲み続けていても、胃炎や胃潰瘍が繰り返す難治性の人は少なくなかった。

一方、胃の中の酸性度は高く、その強酸ゆえに菌は死んでしまうため、最近は存在できないというのが定説であった。その定説をくつがえしたのはピロリ菌発見者のウォーレン博士である。

オーストラリアの病理医ウォーレンは胃炎や胃潰瘍の周囲粘膜に細菌(ピロリ菌)がいることを発見した。そして、研修医のマーシャルと共同で1982年にピロリ菌が胃炎・胃潰瘍・十二指腸潰瘍の原因であることを証明した。

当時、医学界はこの発見に懐疑的であったが、マーシャルは自らの体をもって証明した。まず、マーシャルはピロリ菌の培養液を飲んで5日後に自分の胃に急性胃炎を起こした。そして自分の急性胃炎の胃粘膜からピロリ菌を確認し、ピロリ菌が胃炎の病原菌である事を証明した。また、抗生物質でピロリ菌が除菌・治療できることも確認された。

ピロリ菌が発見されると全世界で一斉にそして急速に研究が進み、胃炎や胃潰瘍のほとんどにピロリ菌感染が原因・関与している事や治療により改善・治癒できることも分かり「革命的な発見」として2005年にウォーレンとマーシャルはノーベル賞を受賞する事となった。

ちなみに賞金は1000万クローナ(約1億5千万円)であり、2人で折半するそうである。  日本は、胃潰瘍および胃癌大国である。是非とも、ピロリ菌の除菌治療を推進して、その汚名を返上したいものである。

NO.2 「ピロリ菌治療で口臭消失?」

<2006.06.20 掲載>

ピロリ菌の正式名はヘリコバクター・ピロリといいます。名前の由来は、ギリシャ語の[ヘリコ]から来た言葉で、「らせん」「旋回」を意味しています(ヘリコプターの「ヘリコ」と同じです)。また、「バクター」は細菌を「ピロリ」は胃の出口付近の幽門部を意味しており、胃の幽門部に存在するらせん菌という意味です。

大きさは約3μmで、4〜7本の鞭毛(べんもう)を持っています。この鞭毛で活発に動き回り、胃粘膜の中に潜り込んで増殖し、胃に色々な障害を与えます。

胃の酸度(pH)は1〜2の強酸であり、一般細菌が胃の中に入っても殺菌されます。ピロリ菌もpH 4以下では生きられません。ピロリ菌が胃の中で生きられるのは、この細菌がウレアーゼという酵素を多量に持っているからです。ピロリ菌はこれを使って胃の中にある尿素をアンモニアに変化させます。このアンモニアが胃酸を中和し菌の周囲のpHを変化させて、生存できる環境を作り上げているのです。

また、ピロリ菌によって発生したアンモニアが口臭の原因になる?とも言われています。実際、除菌治療を行った後に口臭が消失した人もいます。口臭消失の原因は、1・ピロリ菌が除菌されアンモニアが発生しなくなった事、2・胃炎や胃潰瘍が治癒し胃粘膜が正常になった事、3・除菌治療に使われる抗生物質により口腔内の細菌(唾液中にもピロリ菌は存在する事がわかっている)が退治された事などが考えられています。

口臭の原因のほとんどは、口腔内(舌や歯)の汚れと食事(ニラやニンニク)ですが、どうしても気になる方は胃カメラ検査の時に調べてみては如何でしょう(ピロリ菌の検査は胃・十二指腸潰瘍の人しか保険で認められていません)。

NO.3 「胃潰瘍の原因は暴飲暴食やストレス?それともピロリ菌?」

<2006.07.04 掲載>

胃潰瘍の「潰瘍」とは、皮膚や粘膜がただれたり、崩れ落ちるという意味で、胃潰瘍や十二指腸潰瘍は、「消化性潰瘍」とも言われています。

胃の粘膜からは、食べ物を消化するための胃酸(攻撃因子)が分泌されますが、同時に胃の壁を守るための粘液(防御因子)も分泌され、胃壁が消化されないようになっています。

消化性潰瘍とは、この攻撃因子と防御因子のバランスが崩れ、胃酸によって胃粘膜まで消化されてしまう病気です。

初めは胃壁の表面がただれる程度ですが、それが進行すると胃壁に穴が空き、痛み(胃痛)を起こしたり、場合によっては出血(吐血や下血)を起こします。更に進行すると、穴が胃壁を突き抜けて穿孔となります(この時には緊急手術が必要となります)。

この数年前まで、消化性潰瘍の原因は食べ過ぎ飲み過ぎなどの暴飲暴食や精神的なストレスなどと考えられていました。また、再発が多い事より、長い期間の食事制限や半永久的な内服治療の継続が必要でありました。

しかし、最近の研究によって、消化性潰瘍の原因のほとんどがへリコバクター・ピロリ菌の感染によるものと解ってきました。

ある報告によると、ピロリ菌感染がない正常の胃には、暴飲暴食をしても胃炎は起こすが潰瘍までは起こさない!ピロリ菌感染により弱った胃粘膜に暴飲暴食やストレスが加わって初めて消化性潰瘍が起きる!という結果でありました。

成因からみた消化性潰瘍の頻度でも、1・ピロリ菌感染が原因―90%、2・痛み止めやステロイドなどの薬が原因―5%、3・原因不明が5%となっています。今まで胃・十二指腸潰瘍を繰り返してした人は、ピロリ菌治療で消化性潰瘍や胃薬とも、お別れができるかもしれません!

NO.4 「ピロリ菌の検査はとても簡単!」

<2006.07.18 掲載>

わが国で重要と考えられる疾患については、厚生労働省が「診断と治療のガイドライン」の作成を行っています。胃潰瘍はその重要項目の9番目として平成15年4月に「胃潰瘍診療ガイドライン」が作成されました。

この中で、胃潰瘍と診断された場合は、ピロリ菌に感染しているか検査しましょう!そして、ピロリ菌が陽性の場合には除菌治療を行いましょう!と記されております。ピロリ菌の検査は、胃カメラ検査で胃潰瘍!と診断された時(同日)に、簡単にしかも短時間で行う事が可能であります。

一般的な検査方法としては、2つの方法があります。1・迅速ウレアーゼ法は、胃カメラ検査時に胃の組織を採取し、それを試薬が入ったビンに入れ、色の変化(黄色が赤に変化)する事で診断します。また、2・尿素呼気試験は、試薬(錠剤)を服用する前後で紙袋に息を吹き込み、それを機械にかけて検査する方法であります。両者とも検査時間が約30分と早く、迅速な診断が可能であります。

この他に、尿や血液または便で調べる方法もあります。これらは主に、人間ドックや健康診断で行われております。これらの方法は、検査判定に日数が必要である事と前述の2つの方法よりも多少、精度が劣るなどの欠点があります。しかし、小児でも検査が簡単に行えるという利点もあります。

以上の検査方法でピロリ菌陽性と診断され、除菌治療を行った場合は、その後、必ず除菌が成功したかどうか確認を行う必要があります。というのは、ピロリ菌が陽性のままでは、胃潰瘍の再発の可能性が高くなります(この場合は、2回目の除菌治療を行う事ができます)。逆にピロリ菌がいなくなった場合には、今後、おそらく胃潰瘍になることも無いでしょう!

NO.5 「ヨーグルトでピロリ菌は退治できる?」

<2006.08.01 掲載>

ピロリ菌の退治(除菌治療)は、世界的には、1990年頃より行われるようになりました。その後、1996年にはヨーロッパで、胃・十二指腸潰瘍だけでなく、高度の胃炎および早期胃がんの切除後にも除菌治療が認められるようになりました。

わが国では、平成12年(2000年)の11月に初めて胃・十二指腸潰瘍におけるピロリ菌の除菌治療が保険で認められました。しかし、その後も除菌治療が進まず胃潰瘍の再発が多いため、平成15年に厚生労働省が胃潰瘍のガイドラインを作成し、広く除菌治療を推奨する事となりました。

実際に行われる治療法は、2種類の抗生物質と1種類の胃の薬を合わせた3剤を一週間服用する方法です。その後、1ヶ月後にピロリ菌が退治されたかどうか?を判定します。

この治療を行った場合のデータとして、国内で発表された結果(除菌された確率)では、胃潰瘍で76%、十二指腸潰瘍で82%、全体で79%という低い結果でありました。そのため、1回目の除菌治療が失敗した場合は、2回目まで除菌治療を行う事を認めております。

しかし、2回目の除菌治療は1回目と同じ薬を使用するため、1回目で効果が無い人は、2回目を行っても同じ結果?との報告もあり、1回目で除菌が失敗した人は、専門医での除菌治療をお勧めします。また、除菌治療が失敗した人のほとんどがタバコを吸っていた!との報告があり、除菌治療中にはタバコを吸わないように指導する事になっております。

最後に、ピロリ菌に効果のある!とされるヨーグルトが宣伝されています。それを食べ続けてピロリ菌がいなくなったか調べてください!と受診した人は多数しますが、一人として除菌されておりません!ピロリ菌の治療は専門医での治療をお勧めします。

NO.6 「ピロリ菌治療で便秘解消?」

<2006.08.15 掲載>

ピロリ菌の除菌治療は、ペニシリンとクラリスロマイシンという2種類の抗生物質を通常の2倍量も服用するため、いくつかの副作用が報告されています。

一番多い副作用は、便通異常で約10%の頻度でみられます。通常は、軟便から一日3回以内の軽度な下痢で終わります。希にひどい下痢を起こす事もあり、その時は、薬を一時中止して、主治医と相談をして下さい。

しかし、一般女性のほとんどは軽度の便秘症の人が多く、除菌治療により便秘が良くなった!という人もいて、女性の場合には、下痢はほとんど問題になりません。

次に、異味感や苦味を含む味覚異常が約3%の頻度で報告されています。この味覚異常は、もちろん、薬を終了した後に徐々にもとにもどります。

次に蕁麻疹を起こす副作用が約1%で報告されています。ほとんどが、ペニシリンが原因といわれています。今までに、ペニシリンで蕁麻疹が出た事があるペニシリンアレルギーの人は、除菌治療ができませんので注意が必要です。薬を服用後、皮膚の掻痒感を認めた場合には、皮疹が出ていないか?自分でまず確認して下さい。薬の副作用の場合は全身に皮疹がでます。この場合は、運動やお風呂などは厳禁です。直ちに全身を冷やして下さい。それでも全身の痒みがひどい場合には、主治医に相談をして下さい。夜中の場合は救急センターに受診をして下さい。

以上の副作用は、1週間のピロリ菌の除菌治療が終われば、副作用は速やかに消失しますので安心してください。

薬の副作用はピロリ菌の薬以外でももちろん、全ての薬や健康補助食品でも起こる可能性があります。薬を服用して、何かおかしい!と感じた場合には、直ちに服用を中止して主治医に相談するようにして下さい。

NO.7 「ピロリ菌治療で胸焼けに注意!」

<2006.08.29 掲載>

逆流性食道炎とは、食道に胃酸が逆流して食道の粘膜を傷つけることで起こる病気です。

症状は主に胸やけで、特に前にかがんだ時や食べすぎた後、あるいは就寝後(横になった時)に強くなるのが特徴です(これは重力の関係で胃酸が食道に逆流するためです)。

また、その他にも、げっぷが出る、のどに酸っぱい水(胃酸)が上がってくる、胸がジリジリする、のどがつかえる、胸が痛い、咳が出るなどの多彩な症状を起こします。

今まで、欧米と比べると日本人には少ない病気といわれていましたが、最近急激に増加しています。一番の原因は、胃酸の分泌の増加であり、欧米型の食事(高脂肪食や刺激物およびアルコール)が原因と言われています。二番目は食べ過ぎ、肥満や便秘、コルセット着用などで起きる腹圧の上昇が原因です。三番目は、食道の胃酸逆流機能の低下が原因であり、これは加齢が関係しています。

ピロリに感染すると、胃の粘膜に炎症が起こり、酸分泌細胞の働きが悪くなるために胃液の分泌が少なくなります。そのため、ピロリ菌が陽性の人には、胸焼けなどの逆流性食道炎は、あまり起こりません。しかし、ピロリ菌を除菌すると、胃の炎症が治り、酸分泌細胞の作用も亢進し、胃液の分泌も増加します。また、ピロリ菌の除菌後、一時的に食道の動きをコントロールしている神経の働きが乱れる事も報告されています。

その結果、ピロリ菌の除菌後約6〜8カ月後に逆流性食道炎が起こりやすいと言われています。しかし、胸焼けを起こす人の頻度はおおよそ5%程度と低く、ほとんどの人は心配がありません。また、ピロリ菌が除菌され、胃の調子が良くなり、食べ過ぎ・飲み過ぎが原因で胸焼けを起こす人も多いようです。

胃の調子が良くなったといっても、食べ過ぎ・飲み過ぎにはご用心!

NO.8 「胃カメラを開発したのは日本人!」

<2006.09.12 掲載>

世界で初めて、胃の中をのぞこうという試みは、ドイツのフライブルグ大学のクスマール教授が大道芸人の剣呑みからヒントを得て、長さ47センチメートル、直径1.3センチメートルの金属の管「胃鏡」を作り、1868年に剣呑み師に呑んでもらったのが始まりです。

しかし、この方法は、光が胃内に届かず、観察は失敗に終わってしまいました。

その後、1920年にはシンドラーが胃内を観察できる胃鏡を開発しました。そして、胃内の撮影もドイツのランゲとメルツイングにより試みられましたが、世の中に受け入れられず、開発は中止されてしまいました。

1945年頃、東大の医師より、「患者の胃のなかを映して見るカメラを作ってほしい」という要望があり、東大の外科医である宇治達郎先生とオリンパス光学工業が共同して、小型カメラを直接胃内へ挿入し撮影する胃カメラの開発が始まりました。

その後、度重なる改良と動物実験を繰り返した後、世界で初めて人体に胃カメラを挿入する実験にも成功し(東大の坂本城馬先生にカメラを挿入した!)、1950年に日本で胃カメラが誕生しました。この事実は、2000年にNHKより『プロジェクトX1執念の逆転劇』として収録出版されております。

その後、1957年に、ヒルショビツツらにより細いガラス繊維の束を通して胃内の画像を手元に誘導するファイバースコープが開発されました。

現在は小型化したテレビカメラを胃内に挿入、電気信号として取り出した画像をモニター上に構成して観察する電子スコープが普及し、カメラやファイバースコープは過去の産物となってしまいました。

しかし現在でも、胃カメラという言葉自体が、胃内視鏡検査の代名詞として使用されています。

NO.9 「胃カメラは楽に受けれます!」

<2006.09.26 掲載>

人間は異物が咽頭(のど)に触ると無意識にそれを吐き出そうと「おえー」となります(咽頭反射)。

胃のカメラを行う場合、のどに麻酔を行い、咽頭反射を麻痺させる事でスムーズにカメラを受ける事ができます。

胃カメラが辛くなるのは、のどに麻酔を行っても、「おえー」となる咽頭反射が抑えられていない(咽頭麻酔が効いていない)状態で胃カメラを入れられるためです。

胃カメラが楽に受けられるかどうかは、この咽頭反射を麻痺できるかどうか!にかかっています。この咽頭反射は、若ければ若いほど強く出る傾向があり、高齢になるほど鈍くなります。また、体調にも左右され、寝不足の人、胃の調子が悪い人、たばこを吸う人などでは咽頭反射が強く出るようです。

では、どうすれば胃カメラが楽に受けられるか?

胃カメラが辛かった人、楽に受けたい人は、内視鏡専門病院での検査をお勧めします。

その理由の一番目は最新の医療機器にあります。通常の胃カメラの先端径は約10ミリですが、最新式の経口の胃カメラは、6.5ミリとかなり細くなっています。カメラが細ければ、咽頭反射も軽く抑えることができます。

二番目として、静脈麻酔で咽頭反射をとって楽に検査を行う「ソフトセデーション」という検査法があります。この方法で行った場合は、半分、寝た状態で検査を受ける事ができます。

しかし安全確保の人手や検査後に休むスペース(ベッド)が必要となり、全ての専門病院で出来るわけではありませんし、この方法が必要な人は10%以下です。

胃カメラが辛い時代は終りました。今まで辛かった人は、是非、専門病院で相談をして、楽に胃カメラを受けて下さい!

NO.10 「鼻から入れる!胃カメラ検査」

<2006.10.10 掲載>

日本人は、欧米人に比べて胃癌による死亡率が現在も第2位と依然として高く、定期的な胃がん検診が重要であります。

現在は、集団検診として胃のバリウム検査が一般的に行われていますが、精度の問題もあり、将来的には胃カメラによる胃がん検診の実現が望まれます。

しかし、胃カメラ検査は「苦しいもの」という認識から「胃カメラを受けたくない!」と考える人も多いのが実情であります。

最近は、胃カメラの挿入部を細経化した新しい胃カメラの開発で、咽頭反射は軽減されています。しかし、咽頭反射が強い人にとっては十分とは言えず、静脈麻酔を用いた「ソフトセデーション」法が必要となります。

しかし、この方法は、検査後に数時間の安静が必要なこと、車の運転が制限されるなど、気軽に受けられる検査とは言い難い所がありました。こうした背景から、苦痛が少ない方法として鼻から入れる胃カメラ検査法が開発されました。

楽に受けられる理由として、1・鼻の穴から入れられる為にカメラの先端が4.9mmと細くなった事、2・鼻から鼻腔を通過して真っすぐに食道に入る為、舌根部を刺激する事なく咽頭反射も起こらない!などと言われています。

また、この検査法の利点として、鼻からカメラを入れるため、いつでも自由に会話をする事ができます。胃カメラをしている最中でも、何か疑問や質問があった場合など、会話をしながら検査を受ける事が出来ます。

しかし、鼻に疾患がある人や鼻腔が狭い人・曲がった人は、鼻からカメラの挿入が出来ない場合があるので、注意が必要です。

胃カメラはもう苦しくありません!どうぞ、楽な気持ちで胃カメラを受けて下さい!

NO.11 「胸焼けの治療で喘息が良くなる?」

<2006.10.24 掲載>

食べ過ぎ・飲み過ぎをした時に、大部分の方は「胸焼け」を経験した事があると思います。これは、食道に胃酸が逆流して起こる事が原因であり、一般的な症状です。

しかし、胸焼け以外にもいろいろな症状を示す事が最近、解ってきました。狭心症のような胸痛・喘息のような咳・のどの痛み・声が嗄れる・耳の痛み、など症状は多彩です。

そのため、耳鼻科や呼吸器科を受診しても、症状が良くならなかったり、また消化器科を受診していても診断が遅れることもあります。というのも、「胸焼け!」の症状も無かったり、内視鏡検査をしても、食道に炎症所見を認めない場合もあるからです。従って、医師もこの疾患概念をたえず念頭に置いて診療に当たる事が大切です。

最近のある報告によれば、喘息患者さんが胃食道逆流症を合併している頻度が多い事と、これらの喘息患者さんに酸分泌抑制剤を使用してみると、約半数の患者さんに喘息症状の改善、あるいは喘息薬を使う頻度が減ったとのデーターがあります。

胸焼けは放置しない事と、ここに書いてある症状でお悩みの方は、いま一度、専門病院でご相談してみて下さい。

NO.12 「酢を飲んで胸焼け出現!」

<2006.11.07 掲載>

胸焼けは、胃酸や消化液が胃から食道に逆流する事で起こります。原因として、3つの原因が考えられます。

1・腹圧の上昇:太った人や背中が曲がった人で起こります。お腹の圧力の上昇が胃酸の逆流を引き起こす事から、肥満の人は減量が必要です。また、コルセットやベルト、帯やガードルなどで腹部を強く締めすぎないようにしましょう。また、食事後の力みや、前屈み姿勢なども腹圧を上昇させます。背中が曲がった人は慢性的に腹圧が上昇している状態なので、特に注意が必要です。

2・食道裂孔ヘルニア:食道と胃の接合部が緩んだ状態であり、高齢の女性に多く見られます。腹圧の上昇も原因になります。横になっただけで胃酸が逆流するので、食後2時間は横にならない事が必要です。また、寝る時に頭を高くする事も逆流防止に役立ちます。

3・胃酸過多―食生活の乱れ:胸焼けの一番の原因はやはり食生活であり、食事習慣の改善が必要となります。腹八分目にすることや就寝前の食事を避けることなどは常識的な事です。また、具体的に胸やけを起しやすい食品を説明します。カレー粉、こしょう、わさびや唐辛子などの香辛料の強いもの。コーヒー、お茶などのカフェインを多く含むもの。パン、おもち、かぼちゃ、さつまいも、チョコレート、などの甘味食材。その他、たまねぎ、タバコ、アルコール、炭酸飲料、油っこい食事などが原因として挙げられます。

その他、ミカンなど酸の多い食べ物も原因となります。最近では、健康番組で紹介された「酢」を飲用して胸焼けを訴える人もいますので注意が必要です。最後に、上記の注意を守っても「胸焼け」が良くならない人は、専門病院に受診をお勧めします。特に、背中が曲がっている人は慢性的な胸焼けがあり、薬での治療が必要な場合が多いようです。

NO.13 「胃のポリープといわれたら!」

<2006.11.21 掲載>

健康診断で「胃にポリープがある!」といわれると、胃がんになるだろうか?すぐ取ってほしい!と心配される方がいます。しかし、胃にできるポリープのほとんどは、治療の必要がなく、心配ありません。

ポリープというのはイボのような隆起物を意味する言葉で、胃や大腸の場合、粘膜から内側に飛び出したイボの様な隆起性病変は、全てポリープと呼ばれます。このポリープには、癌化する可能性があり治療が必要な腫瘍性のポリープ(大腸で多い)と癌化する可能性が極めて低く治療の必要のない非腫瘍性のポリープに分けられます。

胃のポリープのほとんどは治療の必要のない非腫瘍性ポリープであり、胃炎などの炎症の繰り返しによって正常の粘膜が過形成性に隆起・増大したものです。

しかし、バリウム(X線)での検査では、治療が必要なポリープとそうでないポリープとの区別がつかないので、精密検査として、胃カメラを受けて頂く事になっております。

胃カメラ検査では、ポリープの形や色調などを観察し、またポリープの一部をとって(生検による組織検査)、治療の必要があるかどうか診断します。その結果、治療が必要ない!と言われた場合には何も心配することはありません。生活の規制、食事制限などは一切ありません。

しかし、治療の必要がないポリープでも大きくなると出血を起こして貧血になったり、2センチ以上になると癌化する事もあり、胃カメラでの1年に1回の定期的な経過観察が必要であります。胃のポリープを治療する場合は胃カメラでの治療が可能であります。

健康診断で「胃のポリープ疑い」と言われた場合には、家で不安な日々を過ごすより、早く専門病院を受診して、楽な胃カメラを受けましょう!

NO.14 「大腸がん検診を受けましょう!」

<2006.12.05 掲載>

欧米と同様、わが国における大腸癌患者は年々増加しております。特に女性においては、数年前より胃癌を抜き、現在では大腸癌が死亡者数の第一位となっております。

また、大腸癌は、比較的進行も遅く、早期に発見ができれば治癒率はとても高い癌であります。大腸癌が粘膜に限局した状態で発見できれば、ほとんどの場合、大腸カメラで治療する事が可能であります。しかも完全切除(根治)が可能であり、転移を起こしている可能性もありません。早期大腸癌全体で見た場合の完全切除率も90〜100%であります。万が一、進行していた場合でも、大腸癌が腸の筋層までにとどまっていた状態で発見し、手術できれば、5年以上生存できる確率は80〜90%といわれています。

よって、現在は患者数がとても多く、今後さらに増加傾向にあり、それにもかかわらず早期に発見した場合には治癒(根治)率も高く、さらに他のがんに比較して進行が遅い!このような大腸癌に対しては、がん検診を行う事・受けて頂く事、が非常に大きな意義があります。

この大腸がんを早期に発見し、治療する方法としては、全員に大腸カメラを受けて頂く事に間違いありません。しかし、医療者側の問題として、大腸カメラは胃カメラに比べ、何年もの熟練が必要であります。大腸カメラを苦痛なく、しかも短時間で検査を行う事ができる専門医が不足しており、その様な専門病院も限られています。

そのため、大腸がん検診として、たくさんの人を簡便で安全に行う方法として、現在では便潜血反応による大腸癌検診が一般的に行われています。

50歳以上の方は、年に1回は大腸がん検診を受けましょう!もちろん、一番確実な方法は、大腸カメラを受けて頂く事です。

NO.15 「便潜血で陽性といわれたら!」

<2006.12.19 掲載>

大腸ポリープや大腸癌は、大きくなればなるほど、表面から出血を起こす可能性が高くなります。そこで、便に血液(出血)が混じっていないかどうか?を調べる事で、ある程度、大腸癌やポリープの有無を推測する事が可能となります。これが便の潜血反応を利用した大腸がん検診です。

検査は2日分の便を取るだけで非常に簡単です。最近は、検査精度も非常に高く、ごく微量の出血でも陽性となります。そのため、痔などの肛門からの出血でも便潜血は陽性となりますので、直ちに悪い病気を心配する必要はありません。

一般的なデーターとして、便に血液が混じっていた場合、約3%で大腸癌が、約20%でポリープが発見されます。すなわち、便潜血陽性の検診者100人のうち3人に大腸癌が、20人に大腸ポリープが発見されております。

また、疾患別にみた便潜血陽性率を見てみると、1・大腸ポリープ:1cm程度の大きなポリープで約10%程度、それ以下の小さなポリープでは、ほとんど陽性にはならないと言われています。2・大腸癌:早期大腸癌で約30〜40%、進行大腸癌があっても約70〜85%しか陽性になりません(大腸癌全体での陽性率は約50%です)。逆に言うと、手術が必要な進行大腸癌があっても、約20〜30%の人は便潜血が陰性と出てしまいます!つまり、進行大腸癌があっても、癌から出血していなければ、この検査では引っ掛ける事ができません。

そのため、1回目でも2回目でも便の潜血反応が陽性とでた場合には、便潜血の再検は意味がありませんのでしないで下さい!再検査をして潜血反応が陰性と出ても、大腸癌が無いとは言えないからです!便潜血検査は、直接大腸を観察しているわけではありません。そのため、便潜血が陽性となった場合には、必ず大腸カメラを受けましょう!

NO.16 「大腸ポリープと言われたら!」

<2007.01.09 掲載>

大腸粘膜から内側に飛び出したイボ様の隆起性病変は、全てポリープと呼ばれます。このポリープには、癌化する可能性が極めて低く治療の必要のない非腫瘍性のポリープと癌化する可能性があり治療が必要な腫瘍性ポリープ(腺腫)に分類されます。

残念ながら、大腸のポリープのほとんど、約80%は治療の必要のある腫瘍性ポリープ(腺腫)であります。従って、大きくなるに従って大腸癌である可能性(癌化率)は高くなります。

大きさが5ミリ未満の小さなポリープは、非腫瘍性のポリープの場合も多く、ほとんど治療(大腸カメラで切除:ポリペクトミー)の必要はありません。しかし、5ミリ以上の大きなポリープは放置しておくと更に大きく成長し、大腸癌になる可能性もあり、切除(ポリペクトミー)が必要となります。

一般的なデーターでは、5〜9ミリの大きさのポリープが癌である可能性は約5%、10〜20ミリで約30%、20ミリ以上の大きなポリープでは大腸癌である可能性は40%以上と言われています。そのため、出来るだけ小さいうちに切除する事が望まれます。

大腸ポリープの発生部位は、直腸に最も多く、次に直腸に近いS状結腸に多く認められます。また、大腸ポリープの発生年齢は、一般的には40歳前後と言われており、高齢になるほど増える傾向にあります。

しかし、最近では、大腸癌および大腸ポリープの弱年齢化が指摘されており、30歳代での大腸ポリープや大腸癌も報告されております。そのため、40歳で一度、大腸カメラを受ける事をお勧めします。

大腸ポリープと診断された場合には、主治医とよく相談し、腫瘍性のポリープであれば、出来るだけ早期の治療(大腸カメラによる切除:ポリペクトミー)をお勧めします。

NO.17 「大腸ポリープは全て切除するの?」

<2007.01.23 掲載>

大腸カメラでポリープを切除するとポリープ切除後に出血を起こす可能性もあり、数日間の食事制限や運動制限が必要となります。また、お金も手術料として検査費よりも高額になります。そのため、大腸ポリープを認めた場合、治療が必要である腫瘍性ポリープとそうでない非腫瘍性ポリープとの鑑別が重要であります。

日本ほど内視鏡の診断技術が発達していない欧米においては、大腸カメラでは、治療が必要な腫瘍性ポリープとそうでない非腫瘍性ポリープとの鑑別は不可能!と言われております。

一般的に、大きさが5ミリ未満のポリープのほとんどが非腫瘍性ポリープであり、5ミリ以上ポリープのほとんどが腫瘍性ポリープであります。そのため、欧米においては、大きさが5ミリ以上のポリープを認めた場合は全て治療(切除)されております。

しかしながら、それでは、6ミリ以上の非腫瘍性ポリープも不必要な治療をされてしまうし、5ミリ程度の腫瘍性のポリープは治療されない事になります。

日本は、内視鏡先進国であり、内視鏡の先端に顕微鏡のような装置がついた拡大大腸カメラも開発されています。その内視鏡は、ポリープを認めた時に瞬時にその表面を拡大観察する事により、切除の必要がある腫瘍性ポリープか?必要のない非腫瘍性のポリープかどうか?を鑑別する事が可能であります。

また、最新式の内視鏡では、解像度の向上により、拡大装置がついていなくとも、微細な観察も可能になって来ております。

そのため、熟練した内視鏡医に検査を受けていれば、拡大観察をしなくとも、大腸ポリープの表面性状を詳しく観察する事で治療が必要な腫瘍性ポリープと非腫瘍性ポリープとの鑑別も可能であり、不必要なポリープの切除は避けられるでしょう!

NO.18 「大腸ポリープはどうやって切除するの?」

<2007.02.06 掲載>

大腸カメラでポリープを発見した場合、そのポリープの表面性状を良く観察し、切除が必要な腫瘍性ポリープと診断した時には、瞬時に大腸カメラの先端から専用の切除器具を出して、ポリープを切除する事が可能です。

5ミリ程度の小さなポリープは、特殊な器具で直接ポリープをつまみ上げ、高周波電流を通電してポリープを切除・焼却するホットパイオプシーという方法が用いられます。

それ以上の大きなキノコ状のポリープは、スネアーと呼ばれる楕円形のワイヤーをポリープの根元に引っ掛けて焼き切るスネアーポリペクトミーという方法を用います。

また、ポリープの中には、キノコ状ではなく、平坦なポリープ(表面型大腸腫瘍)も存在します。このタイプのポリープは丈が低いため発見が難しく、横に這って増大し、1センチ以上の大きさになって初めて発見される場合もあります。また、キノコ型よりも悪性度(癌の可能性)が高いと言われています。

この平坦なポリープを切除する場合、スネアーが引っかからないため、腫瘍の下に無菌の水(生理食塩水)を注入して全体をドーム状に盛り上げてから、腫瘍の周囲の正常粘膜ごと切除する―粘膜切除術―という方法が用いられます。この切除方法は、キノコ状のポリープでも、大腸癌の可能性が疑われる場合に用いられる事があります。

切除したポリープは、良性であるのか?大腸癌であるのか?病理学的に検査が行われます。大腸癌であっても、完全に取りきれていれば、完治も可能です。しかし、癌が粘膜の下(粘膜下層)に浸潤していた場合には、リンパ節転移の可能性もあり、追加で手術を行う必要もあります。

大腸癌でも大腸カメラで完治できる場合もありますが、できれば、早い段階での大腸検査および治療を受ける事をお勧めします。

NO.19 「大腸ポリープをとる時に出血はするの?」

<2007.02.20 掲載>

大腸ポリープを切除する場合、内視鏡医は左手で大腸カメラを持って、右手でスネアを操作してポリープを引っ掛けます。右手も左手も塞がれているため、スネアを締める操作は看護師や内視鏡技師が行います。そして、医師が足でペダルを踏んで高周波電流を通電し、そのタイミングに合わせて技師がスネアを更に絞めてポリープを安全に切除します。

高周波電流は、ポリープを切る切開電流と血を止める止血電流がコンピューター制御で交互に行われており、通常は出血を起こさず、安全にポリープを切除する事が可能です。

しかし、切除するまでの通電時間が重要であります。というのも、長く通電すれば、十分な止血効果があり、出血は起こしませんが、腸の粘膜が火傷をおこして腹膜炎を起こしたり、腸管に孔(腸穿孔)を起こす危険があるからです。そのため、小さなポリープでは一秒以内、大きなポリープでは数秒、等の通電時間の調節が必要となります。

通常はポリープの大きさで通電時間を決め、医師と技師の間でタイミングを相談して切除を行いますが、中には見た目よりも柔らかかったり、硬かったりしてタイミングが合わず、出血を起こす場合もあります。また、太い茎を持ったポリープの場合は、その中に太い血管が走行している場合があります。血管はゴムのように硬く切れづらく、生切れとなり、切除後に出血を起こす場合もあります。

切除直後に出血を起こした場合は、アルゴンプラズマという特殊なガスでガスバーナーの様に出血した部位を焼却・止血を行ったり、クリップという止血器具ではさんで止血操作を行いますので、心配はありません。

みなさん、大腸ポリープの切除は通常は出血も起こしませんし、出血をしても止血処置が行われます。安心して大腸カメラ・大腸ポリープの治療を受けて下さい。

NO.20 「外来でも出来る?大腸ポリープ切除術」

<2007.03.06 掲載>

大腸カメラでポリープを切除した場合の偶発症(危険性)として、腸に穴が開く可能性(腸穿孔)は0.1%であります。これは、早期大腸癌など特別な病変を内視鏡的に治療する場合を除いては、ほとんど問題ありません。

その他、一番多い偶発症は、出血(下血)であり、可能性は全国統計で1%と100人に1人の割合で発生します。そのため、以前は多くの医療機関では2泊3日、短くても1泊の入院で行われていました。

しかし、逆に考えると100人に99人は出血を起こさず、入院の必要もありません。そのため、最近では患者様の経済的負担や国民医療費削減の目的もあり、半数以上の医療機関は「大腸内視鏡日帰り手術」として、外来での大腸ポリープ切除を行っております。

しかし、外来で内視鏡治療を行う場合の注意として、入院と違って、帰宅後に数日間の食事制限や運動制限を患者様自身で考えて行う必要があります。たとえば、お酒が好きな人は冷蔵庫にたくさんのビールがあっても我慢!が必要ですし、ゴルフが好きな人は数日間のプレーもできません。また、肉体労働的な職業の方は、仕事を休んで頂く場合もあります。更に、抗凝固薬・抗血小板薬の休薬も自分で責任を持って行う必要があります。

また、医療機関側の問題としては、患者様が帰宅した後に出血が発生した場合、適切に対応ができるような医療体制がとれる事と後方支援病院の確保が必要あります。

そのため、全ての医療機関で「大腸内視鏡日帰り手術」ができるわけではありません。

大腸ポリープを治療する場合、入院がよいか?外来で大丈夫か?は、患者さん自身の生活スタイルによっても変わります!

是非、大腸カメラ検査を行う前に、その医療機関が「大腸内視鏡日帰り手術」が、できるかどうか?も含めてご確認下さい。

NO.21 「大腸内視鏡検査における内服薬の注意!」

<2007.03.20 掲載>

大腸カメラでポリープを切除する場合、術中に出血する事は少なく、帰宅後に出血を起こす可能性も約1%と低い確率であります。

しかし、狭心症や脳梗塞および動脈閉塞症や血栓症などで血液をサラサラにする薬(抗凝固薬・抗血小板薬)を服用している方は、その薬を服用したまま大腸ポリープを切除した場合には、血が止まらず、大出血を起こす危険性があります。

そのため、大腸ポリープを切除する数日前から一週間前より、この薬を休薬する必要があります。代表的な薬名を挙げると、ワーファリン・バイアスピリン・パナルジン・エパデール・プレタール・ドルナー・プロサイリン・アンプラーグなどです。最近はやりのジェネリック(後発)品を処方してもらっている方は、薬の名称が異なるので、疑わしい場合は、主治医に確認してみて下さい。

この種の薬を服用している方は、大腸ポリープを切除する時のみならず、内視鏡検査で組織の検査を受ける時、歯を抜く時、および手術を受ける時には前もって主治医より休薬が可能かどうか?相談する必要があります。

もちろん、持病(脳梗塞など)の状態が悪く、薬の休薬が不可能である場合は服用したまま検査を行います。しかし、その時に大腸ポリープや大腸癌が発見されても組織の検査や治療(切除)する事はできません。

この場合は、大腸ポリープや大腸癌を放置した時の危険度と抗凝固薬・抗血小板薬を休止した時の危険度を比較して最良の治療方針を主治医と良く相談して決定していきます。

くれぐれも、自分勝手な薬の休薬は危険ですのでお止め下さい。必ず、主治医と相談して休薬できるか?相談して下さい。

また、血圧の薬を服用している方は、検査当日も必ず服用して下さい!緊張していつもより血圧が高くなる方が多いようです!

NO.22 「一度で済む?大腸ポリープ発見から治療まで」

<2007.04.03 掲載>

大腸カメラ検査時に、大腸ポリープが発見された場合は、その場で直ちにポリープの切除(治療)が行われる事が時間的にも経済的にも望ましい事であります。

しかし、一回目は大腸カメラ検査で見るだけ!大腸ポリープがあった場合には日を改めてポリープ切除治療を行う!という大腸検査が2度必要なシステムをとっている医療機関が約半数認められます。

理由として、検査と治療を一度で済ますためには、検査前に病院に受診して、大腸検査の説明のみならず、大腸ポリープ切除に伴う薬や日常生活の注意と偶発症についての詳しい説明を予め受ける事が必要であります。

また、最近は、医療訴訟の問題もあり、複数の医者が検査を行うような病院では必ず、ポリープ切除に伴う偶発症の詳しい説明を行い、そして了解を得た!という記しとして承諾書にサインをしてもらう必要があります。

しかし、遠くて検査当日しか来院できない人、忙しく時間の取れない人、抗血栓薬を飲んでいて、その休薬の確認も難しい人などもいます。また、女性や若年者を含めた受診者全体でみると大腸ポリープの発見頻度はまだ低く、検査を受ける人全員に偶発症の詳しい説明をする事・承諾書にサインを求める事は医療機関および受診者にとっても時間的な負担となります。

そのため、約半数の医療機関では、まず大腸検査を行い、ポリープを認めた場合はその時に治療を行わず、偶発症についての詳しい説明を行い、承諾書にサインをしてもらって、後日、大腸ポリープ切除を行う!というシステムをとっております。

大腸カメラ検査と治療を一回で済ませたい人は、あらかじめ、医療機関と良く相談をして下さい。

NO.23 「大腸癌の原因と予防―あなたは大丈夫?」

<2007.04.17 掲載>

世界的な傾向として、アメリカなどの欧米諸国において、大腸癌の罹患率および死亡率は非常に高くなっております。最近のアメリカの統計調査では、60歳代の男性の約4割に大腸ポリープを認めたと報告しています。日本においても、大腸がんは増加の一途をたどっています。

大腸癌は、もともとアフリカ人やアジア人で発生は少なく、ヨーロッパ人やアメリカ人に多く発生する事がわかっていました。

しかし、最近の疫学調査の結果1.アフリカの黒人には大腸ガンは少ないのにアメリカの黒人には多い!2.アメリカの日系人の大腸癌の発生は日本人の3〜4倍と多い。

以上の事実より、大腸癌の発生原因が、人種や遺伝的な要因よりも食生活が大腸癌の発生に関与していると推測されています。

その主な原因としては、動物性脂肪の多量摂取!と食物繊維をあまり取らない事!などが原因といわれています。

発ガンのメカニズムとしては、1.脂肪食を摂取すると、体内から脂肪の消化酵素である胆汁がたくさん分泌されます。2.次に、胆汁に含まれる胆汁酸が腸内の発がんに関与していると考えられています。3.さらに、食物繊維が不足すると便が腸内に留まる時間が長くなり、発がんを促す胆汁酸が腸に触れる時間も長くなり、発がんのリスクが高くなる!といわれています。

そのため、便秘の人も注意が必要であり、そのためか?わが国の女性における死亡者数の第一位は大腸癌であります。

一般的な大腸癌予防のポイントは、1.動物性脂肪を減らす-魚を食べる!2.アルコールを控える3.タバコを止める4.適度な運動をする5.乳製品を食べる6.果物を摂る7.食物繊維を摂る!などが言われています。

皆様の食生活は大丈夫ですか?

NO.24 「大腸カメラ検査―適正な検査間隔は?」

<2007.05.01 掲載>

一般的に、大腸ポリープが発育・進展して大腸癌が発生する!と言われており、その期間は数年〜10年と考えられています。

そのため、定期的に大腸カメラを行い、大腸ポリープを切除する事が大腸癌の予防に効果があった!と数多くの報告があります。

しかし、大腸ポリープを切除した後、大腸カメラをどのくらいの間隔で検査を行えば良いか?についての研究はほとんどなされておりません。日本においては、健康診断や成人病検査が年に1回ある事より、一般的に1年に1回の大腸カメラが行われておりますが、それが適正な間隔であるのか?についての根拠(論文)はありません。

一方、米国では1993年に多施設の共同研究として、大腸カメラの適正な検査間隔に関する調査結果が報告されました。約1500人を対象に、大腸カメラで全ての大腸ポリープを切除した後、1・1年後と3年後の2回大腸カメラを行う群、2・3年後の1回だけ大腸カメラを行う群―この2群における追跡調査を行った結果、2群間における大腸癌の発見頻度に違いはなく、したがって、大腸カメラは3年に1回で良い!とされております。

それを受けて、日本における大腸カメラの適正な検査間隔を調査するために、2003年に国立がんセンターが中心となり、厚生労働省の支援を受けて、3000人を対象とした研究がスタートしました。日本人を対象とした初めての調査であり、大腸カメラが1年に1回必要であるのか?3年に1回で大丈夫なのか?があと4年後に結果が出る予定であります。

しかし、これらの検討は、医療費削減を目的とした調査研究であります。米国の結果では、大腸カメラは3年に1回が適正!としていますが、大腸癌が発生しています。大腸癌が発生しても適正な検査間隔とはいかがなものでしょう?皆さんはどう思いますか?

NO.25 「便秘で悩んでいませんか?」

<2007.05.15 掲載>

便秘とは、一般的に「3日以上排便が無い状態」と定義されています。便秘をさらに放置しておくと、ひどい腹痛を起こしたり、腹痛後に下痢と下血を起こす虚血性腸炎という病気を併発したりしますので、適度(定期的)な排便コントロールが重要であります。

便秘の人は、まず大腸に病気が無いか?きちんと大腸検査を行って下さい。大腸に特別な病気が無いのに便秘を起こす人は、腸の動きが原因(弛緩性症)か、ストレスが原因(痙攣性便秘症)である事が多いようです。

便秘で一番多いのが、弛緩性症であり、女性や高齢者に多くみられます。原因は、腸の運動機能の低下と言われています。

では、なぜ腸の運動機能が低下するのか?まず、食事を摂取すると、腸がそれを感知して腸の運動(蠕動運動)が起こります。これを胃結腸反射と言います。この胃結腸反射をスムーズに起こすためには、朝食をきちんと規則正しく摂ることが重要であります。

また、適度な運動も必要であります。運動不足になると、大腸の蠕動運動が低下し便秘となります。高齢者や病院に入院した患者様が便秘になりやすいのはこのためです。

最後に、適度な水分と食物繊維の摂取が必要であります。食物繊維は、ほとんどが腸より吸収されずに便として形成されます。それが、大腸粘膜に刺激を与え、胃結腸反射を起こす原因となります。また、便の70%は水分であり、適度な水分がないと硬い便となり便秘の原因となります。

便秘の予防と対策としては、1.規則正しい食生活を心掛ける・2.適度な運動を行う・3.野菜や果物などの食物繊維を多く摂る・4.適度な水分を摂る(一日にコップ7〜8杯程度)などが挙げられます。

それでも、効果がない方は薬が必要です。是非、医療機関で相談してみて下さい。

NO.26 「下痢で悩んでいませんか?」

<2007.05.29 掲載>

下痢とは、一般的に「便に水分が多く含まれて泥状〜水様になった状態」と定義されています。多くの場合は、排便の回数が増え、時には腹痛を伴う事もあります。

急激に下痢が起こった場合の原因としては、1・感染症(細菌やウイルスなど)や食中毒、2・消化不良やお腹の冷え、3・精神的な要因、などが考えられます。

感染症や食中毒の場合は、下痢の症状が強く、発熱(時に高熱)や嘔吐および腹痛などを伴う事が多いです。消化不良による下痢は、暴飲暴食(特にアルコール)が原因です。お腹冷えによる下痢は寝冷えや、冷たい食物(牛乳や麦茶など)の摂り過ぎで起こります。精神的な要因で起こる下痢は、突然の緊張や心配事により、腸管の運動機能が異常に亢進したために起こります。

また、慢性的に下痢が続く場合には、精神的なストレスが原因で起こる「過敏性腸症候群」の事が多いです。しかし、国の難病に指定されているような炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎やクローン病)の可能性もあるので、医療機関に受診し、大腸の検査(大腸カメラ)を受ける事をお勧めします。

下痢になった時の対処法は、まず十分な安静をとり、お腹を温める事です。そして食事療法が重要であります。というのも、下痢を起こしている状態では、「胃結腸反射」が通常よりも敏感に起こるからです。

そこで、下痢になった時の食事療法の原則は、消化に良い温かい物(水分や食事)を少量ずつ、何回にも分けて摂る事です。

突然に下痢になった時は、一過性で良くなる事も多いですが、下痢の症状が強い場合や、慢性的な下痢が続く場合には、医療機関への受診をお勧めします。粘液が出たり、出血があったり、黒い便が出た時には要注意です。あなたの下痢は大丈夫ですか?